重量世界一の柚湯。
ここ数年、12月になると届くのが赤ちゃんの頭ほどの大きな「八代晩白柚」。同封のパンフレットによれば原産地はマレー半島。昭和10年に熊本県出身の植物学者の好意によって熊本県果実試験場にて試作、八代地方での栽培に適していることが判明したという。まあ、そんな前口上はともかくとして、届く時期が時期だけに、この時期の季節行事には欠かせない存在となっている。冬至と言えば柚湯。かつてはスーパーマーケットで買い求めては日本手ぬぐいを適当な大きさに切り、せっせと縫った布袋に収めて湯船に浮かべていた。それが、この大きな晩白柚に取って代わった訳なのだけれど、問題はその大きさ。晩白柚は、果実だけでなくその分厚い果皮も食べられる。パンフレットでは、果実は生食で、外側の果皮は入浴剤に、果皮の白いふわふわの部分を砂糖漬けにして食べよと勧めている。これまで、果実を食べ、白いふわふわ部分も適当に切って細かくし、手縫いの布袋に入れて入浴剤としていた。それを今年は、夫の気まぐれで砂糖漬けに挑戦することに。餅つき大会の最中に家に戻って、切り分けてあったふわふわ部分の灰汁抜きを始める。それから、レシピ通りに鍋に入れ、砂糖と水で煮る。「あとはよろしくー」と出て行く夫。これじゃ、散歩に行けないじゃないか、ぷんぷん。ふと気づけば、水が無くなっている。これでいいのかな?と思いつつ、火を止めさましておく。冷めたかなと思ったら取り出し、グラニュー糖をまぶす。すべてが終わって戻って来た夫は早速味見。「ただ甘いだけじゃん」それっきり晩白柚のことには触れずに出かけて行く。要するに美味しくなかったらしい。さらに外出から戻って来た娘が味見。「まずーい!」思いっきり罵倒する。香料入りのお菓子ばかり作ってるからなあ。素朴なものはダメになってるのか?こっそり私も食べてみた。まずっ!思わず吐き出してしまう。ごめんね~と心の中で謝りながら捨てる。もう一度パンフレットをよく読み返してみると、煮方が足りなかった、らしい。何度も水を足しながら、ことことと煮る。う~む。元来オレンジピールや果物の砂糖漬けのたぐいはあまり好まなかった私の嗜好が災いしたのか?もし、来年も届くのであれば、今度はちゃんと作ってみよう。因に晩白柚湯の香りは、普通の柚とはかなり違って野趣に富んでいると言うか、樟脳臭いと言うか……。4,858グラムの晩白柚が「柑橘類ザボン区分で重量世界一」として認定されました!とパンフレットの表紙に書いてあるので、柚と同じに考える事自体に誤りがあるのかもしれない。ああっ、ここでまたしても写真に撮っておくのを忘れてしまっていたことに気がついた!