標高2450メートルで星空を堪能。
その昔、仕事をお願いしていたデザイナーさんから「20メートルくらいの積雪をブルドーザーで除雪して 雪の壁を通れるようにしたところがあるんだ」と聞いたその瞬間から、「雪の壁」は憧れのひとつになった。ところは立山の山頂近く、室堂平に、その「雪の壁」=雪の大谷はあるという。「今年のGWは家族で旅行しよう」と夫が言ったとき、迷わず提案したのは言うまでもない。母も一緒と言うから、「立山に行きたいんだけど」と母に告げるや、母からは「私は黒四が見たかったの」と即座の賛同及び提案がなされた。かくして我が家の立山黒部アルペンルートの旅は、着々と計画が進んだのだった。3日朝。東京はあいにくの雨。でも、目的地・富山は晴天。羽田から一路富山を目指す。機上の人となった私たち。一面の雲が晴れるや、しばらくして右前方に湖を発見。どこかで見たことのある形。大変山深いところではあるけれど、あれはダム湖。ほどなくして雪に覆われた山々。きれいに除雪された道路はヘアピンカーブの連続。空港についてから気がついた。空から見たあの景色は、まさしくこれから向かう立山黒部アルペンルート。こちらの旅程を逆方向から、まるで空撮みたいな感じで先に確認していたのだった。富山駅で母と落ち合い、まずは富山地方鉄道で立山駅へ。ケーブルカー、バスと乗り継ぎ今日の宿、ホテル立山へ向かう。標高2450メートル。日本で一番標高の高いところにあるリゾートホテル。今はなき、志賀高原ホテルにも似た佇まい。が、ひとつだけ気がかりがあった。娘は標高2000メートルを超えたところへ行くと高山病症状に陥るのだった。不安は的中し、不機嫌なこときわまりない。もともと「行きたくなーい」と不満たらたらで、まともに旅行の話を聞こうともしなかったから、出発の朝になって「え? 飛行機で行くの?」というあわてぶり。羽田空港で「飛行機に乗るのも知らなかった、痛い子なの」と友人にメールを送り「そりゃ、痛いね」との返信をもらったとか。そんなことより、せっかく絶景が楽しめる場所に来て、高山病でベッドに臥せってる方がよほど“痛い”と思うけど。どっちにしろ痛いことには違いないか。とほほ……。ホテルの宿泊客向けサービスのひとつがホテル従業員のガイドによる雪の散策。娘をおいて、おとな4人で参加する。奥の建物がホテル立山。で、手前の雪が白い部分が除雪した雪で谷を埋めた部分。本来なら谷底まで25メートル。4年前の雪がまだ残っていて、その上に今年の分を積み上げたとか。その上を、歩いて雪の大谷を目指す。この日現在で、高さは11メートル。まだまだ見上げる高さの大谷。ここの右側をバスが通り、左側が人間専用の遊歩道。ホテルに着く前にバスで通っただけで充分だったのだけれど、ホテルのサービスのおかげで、大谷を歩くことが出来た。この直前、茂みに潜む雷鳥を発見。羽ばたく姿まで目撃する。まさか雷鳥まで見られるとは!夕食後に、建物の屋上から下界の夜景と満天の星空を堪能する。「いやあ、来た甲斐があったわ」とつぶやくと「そりゃあ、よかった。 そう言ってもらえて嬉しいよ」と夫。都会生まれの都会育ちだから、満天の星空を見て「プラネタリウムみたい」としか言えないのが残念。もひとつ、春の星座を調べておけばよかったと後悔。星空鑑賞会もサービスの一環なのだけれど、のんびり入浴したかったので、早々と二人で観に行ったのが惜しまれる。売店で酸素を購入、娘に吸わせると少しからだが軽くなったようだが、だるさや頭の痛みは治らず。確かに階段を上るだけでも息切れがする。酸素が薄いからだね、きっと。でも、昼間は雲海、夕方は日没、夜は星空、おまけに雷鳥まで見られるんだよ。早起きさえ厭わなければ、ご来光だって堪能出来る。ご来光に関しては、ハワイでのクルーズで懲りてる我が家族。今回はパス。電波のいたずらか、なぜかWOWOWでアメリカ映画を見て、就寝。明日はいよいよ、黒部ダム。