お願いされても困るんだけど……。
いつものことながら、ふと思いついて娘に聞いてみる。「もし誰かに、 『お願いですから子どもを産んでください。 でないと、あなたのおうちの血筋が 途絶えてしまいます』 って言われたらどうする?」娘は笑って即答。「絶対に断る!」やっぱりね。じゃ、こんなのはどう?「政府から人が来て、 『お願いです! 子どもを産んでください。 あなたが産んでくださらないと、 日本が滅亡しちゃいます』 って土下座して頼むの」「『やだね』って言って立ち去る」そして、娘はこう続けたのだ。「『産んでくれ』って言われるのは嫌。 そういうことされたら、絶対に産まない。 返って反発したくなる」「少子化対策という言葉から受けるイメージって、 『産んでください』って政府から頼まれている イメージだよね」と尋ねたら「そうだね。私的には逆効果」とも。でも、お願いに来た人の前から立ち去った直後に恋に落ち、2年後ぐらいに子どもを産んでいるかもしれないよね?なんてさらに突っ込むと、「うん、あり得る」と笑って、「あくまでも自分の自由意志で、 産む、産まないは決めたいよね」と真顔で応えた。娘や私たち女性の思いとは裏腹に、「次世代育成」では反応の薄かった世論が「少子化対策」と言ったとたんに反応した、と厚生労働省などの人たちは打ち明ける。日本って、そういう人たちによって動かされている国なんだ。ヨーロッパでは「家族政策」と呼ばれている内容の施策も、日本では「少子化対策」と呼ばれる。確かに「家族政策」と「少子化対策」とでは、その施策がカバーするものの範囲が随分異なるというか、「少子化対策」のほうが幅広い施策を必要とするイメージだ。なるほどなあ。そう捉えればいいのか。おじさんたちを納得させつつ、求めているもの、望ましいものへと近づいていけるといいね。てな話をしながら、テスト終了後の昼食を食べる。つい先日まで、「絶対に結婚しないし、子どもも産まな~い」と悪態をついていた娘が、「自分の意志で」という条件付きではあるけれど、子どもを産むことに前向きな発言をしたことに内心ほくそ笑む私。おかあさんてずるい?