質問するのはタダ
久々に職場ネタ。ドイツで正社員になってからあと1週間で丸1年たつ。1年半研修させてもらった税理士事務所は、職業学校の先生やクラスメートにまで同情されるようなひどいところだったこともあり、今の職場は天国だと感じていた。研修先では「いちいち質問するな。基本的理論は学校で習っているという前提のはずだ。もし教わっていないのだとしたら学校に文句を言いなさい。」と言われていたが、今の職場は誰もが「わからないことがあったら何でも聞いて!」という姿勢で、みんな忙しいのに質問すれば丁寧に教えてくれる。それでも遠慮してなるべく自分で解決しようと努力はしている。どうしてもわからないことはメモしてまとめて質問するようにしている。今年に入って5人退職し、4人新人が入ってきて、職場の雰囲気が変わってきた。4人とも私の通っていた職業学校で私と同じように職業再訓練を受けた人たちで、そのうち二人は私と一緒に資格試験を受けた人たち。彼女たちとは一緒のクラスではなかったが、試験直前対策講座で4週間一緒だっだので顔は知っていた。7月から研修生が来たのだが、その彼女も同じ職業学校の人。8月から来た人も同じ職業学校の卒業生で7月に資格試験に合格したばかりの人。つまり私を含めみんな新人レベル。職歴としては私のほうが彼女たちよりも1年から数ヶ月長い分、「わかりません」というのが以前にまして憚られるようになった。新しく入ってきた4人はとにかくよく質問する。その質問レベルが「そんなことまで聞くの?」とびっくりするレベル。彼女たちは「質問はタダだから」とよく口にする。彼女たち4人は「ロシア系ドイツ人」で、ドイツ語はペラペラで、会話に何の問題もないので、とにかくよく喋る。私語が多いのが気になるのだけど、だからドイツ語の上達も速いのだなーとも思う。6月に入ってきた人は、去年私と一緒の時期に資格試験を受けて合格した人なのだが「私は研修先でも前の職場でも何も教えてもらってこなかったので、本当に何も知りません。」と堂々といい、簡単な仕事に対しても「私はÜberfördert(実力よりも上のことを求められている状態)です。手とり足取り教えてもらわないと一人ではできません。これ以上無理です。」とはっきり言う。それは自分がいかに使えない人間かと言っているのと同じことだと思うのだが、事務所の人はみんな「そんなにストレスを感じないでね。ゆっくりやっていきましょう」と優しい言葉をかける。彼女たちにはそれぞれ「お世話係」がついているので、私に質問されることはそれほどないのだが何故か彼女たちが些細なことまで質問することに毎度イライラしてしまう。この話を恵子にしたら「質問はタダってみんな言うよね。大学でも教授が、わからなかったら何でも質問してください、って毎回言うよ。でも実際に質問する学生は少ないよ。「こんなことも知らないのか、馬鹿だなー」と思われるのが嫌だからね。質問を躊躇なくできる人はすごいなーって尊敬しちゃうよ。」と言った。嫌味ではなく、本当にそう思っているようだった。わからないことはまず自分で調べて、それでも解決しないときに質問するするのが本来のスタンスではないかと私は思っている。でも職場の新人たちはみんな「質問はタダ」と悪びれない。質問する本人にとってタダかもしれないが、相手の貴重な時間を使っているという認識はないのだろうかと思ってしまう。それとも私のメンタリティーが間違っているのだろうか???