日影茶屋のスワンシュー
葉山の名店『ラ・マーレ・ド・チャヤ』一度だけ食べに寄ったことがある。海沿いの気持ちのよい店で、アジのフライとか、なんてことのないものがとても美味しかった。『料理の鉄人』で鉄人に勝ったこともある。そのチャヤの和洋菓子を売るショップが、『日影茶屋』として荻窪のルミネにも入っている。ここにはクラシカルかつエレガントなスワンシューが売られている。うつむいた首の曲線が愛らしい。スワンが泳いでいるのは、「ヴァルドロワール(ロワール渓谷)」。フランスはリモージュのアビランド社製のプレートだ。ブルーのデザートプレートでは心なしかスワンの生クリームが蒼ざめてみえる。ちょうど色白の女性がブルーのドレスを着ると、より肌が蒼ざめて見えるように。もちろん、エスプレッソと「マリアージュ」。まさしく祝福すべきマリアージュだ。このシュークリームをいただくときは、エスプレッソもなみなみ入れる。アビランドヴァルドロワール19cmプレート★昔はシュークリームというと「スワンの形」のイメージがあった。たまたま子供のころ買っていた洋菓子屋のシュークリームがその形のものを作っていただけかもしれないが。ともかく、だんだんに世のお菓子屋さんからスワンの形のシュークリームは消えていったような気がする。だから、日影茶屋でスワンシューを見たときは、懐かしく、嬉しかった。世のお菓子屋がスワンのシューを作らなくなっていった理由は、この首の形を作るのが面倒だからなんだろうと思う。手間がかかることは想像に難くない。だからこそ、クラシカルでエレガントなスワンのシューを作り続けてくれているラ・マーレ・ド・チャヤには感謝したい。