ホーチミンのタクシー、新手の詐欺か?
<昨日のエントリーから続く>ホテルの外観はタクシーのフロントウィンドウから見えるものの、かなり手前で停めた運転手。27,000ドン(135円)のところを40,000ドン(20,000ドン札2枚)出して、「テン、プリーズ」と言うMizumizu。お釣りは10,000ドンでいいから、という意味だ。ところが、この運転手、物凄い勢いでかぶりを振り、「ノー、ノー、ノー、セブン!」と叫ぶ。セブンというのは7,000ドン(35円)のこと。だから、細かい札は持ってないっちゅーの。それはさっきの「故障タクシー」の請求を踏み倒したところで、アンタ見てたでしょーが?「ノー、ノー、テン!」。Mizumizuもひるまず20,000ドン札2枚を手に強く言う。「ノー、ノー、ノー、セブン!」またも言い返すドライバー。そして、「なぜか」厚めの新聞紙を広げて、そこに何か数字を書いた…か、書く真似をし、その新聞紙をこっちに突き出しながら、「セブン! セブン!」となお大声を出している。厚めの新聞紙を広げてこっちに突き出すなんて、まるで、ヨーロッパのスリみたいだ。だいたい、目的地はここじゃないじゃん。ホテルの名刺を渡して、「もっと直進して…」というゼスチャーをしてみたが、室内灯をつけて、そこにわざとらしく名刺を近づけ、「ココだ、ココ」と言い張る。ホテルは見えてるが、距離はある。そんなところで停まるなんて、後ろ暗い証拠でしょう?しかし、あまりにしつこいので、仕方なく、入ってないと知りつつ細かいお札をさがすフリで、ウエストポーチを見るMizumizu。「イエース、イエース、セブン」←そうそう、7だよ。さがしてさがして、というような口調。さっきこのドライバーも見たはずのウエストポーチの中には、50,000ドン札が入っている。これを1枚出して20,000ドンを渡せとでもいうのだろうか? しかし、それは「70」であって「7」ではない。「ない」という意味で、「ノー、ノー」と頭を横に振るMizumizu。再び20,000ドン札2枚を持って、ドライバーのほうに突き出し、「テン、テン」と言い張る。「ノー、ノー、セブン!」負けずに言い張るドライバー。お釣りがないのだろうか? しかし、それにしたって一銭も持ってないハズはないだろう。お釣りがないなら、そう言うとか、そこまで英語力がないというなら、さっきの故障ドライバーのように、持っている小額紙幣をこっちに見せればいい話ではないだろうか?ところが、持ってるお金は一銭も見せないのだ、このドライバー。そして、新聞紙を広げてこっちに押し付けながら、「セブン!」と、ほとんど脅迫のような口調になってきた。小額紙幣を持ってないことを納得させなければいけない雰囲気だ。意に反して、ショルダーバッグのファスナーをあけるMizumizu。実は、ウエストポーチとは別にショルダーバッグの中に、財布を入れていて、そこに日本円で3,000円分ぐらい入っているのだ。だが、1,000ドンとか2,000ドンとか5,000ドンとかは入っていない。両替をしたのはホテルで、ホテルでは100,000ドンを50,000ドンと20,000ドン+10,000ドンに細かくしてくれたが、それ以下の紙幣はくれなかったし、こちらも10,000ドンとか20,000ドンあればいいでしょ、ということで要求もしなかった。今回20,000ドンが2枚あって10,000ドンが1枚もなかったのはあくまで偶然だ。ショルダーバッグのファスナーをあけて、財布の中を見て、「ノー(やっぱり、ない)」と言うMizumizu。さっさとバッグのファスナーは閉じた。すると、ドライバーは今度は後ろのMizumizu母に、新聞紙を突き付けるようにしながら、「セブン、セブン!」と言い始めた。実は、Mizumizu母はお金は持っていない。それはMizumizuは承知していたのだ。この日はホーチミン2日目。最初の日は2人で分けて5000円分ぐらいずつのベトナムドン持っていたのだが、ガイドブックや日本語のネット記事に載っているような街中のショップやレストランは、VISAだけでなく、MasterもJCBも問題なく使えるということが分かったし、何となく虫が知らせたのか、Mizumizu母が持っていたベトナムドンはMizumizuが一括して持つことにしたのだ。日本円やパスポートは全部ホテルのセーフティボックスの中。お金を持っていないMizumizu母。だが、あまりに運転手がヒステリックなので、ないことを納得させようと、財布を出して、中身を見せる。日本円の硬貨がちょっとあるだけであとは財布は空だ。「セブン、セブン!」ドライバーの追い詰めるような執拗な声に、もうしょうがなくなって日本円の硬貨を差し出すMizumizu母。一瞬、ベトナムドンのコインだと思ったのが、受け取ろうとして、外国の小銭だと気づき、「ノー、ノー」と怒ったように、また新聞紙を突き出すようにする運転手。だから、持ってないっちゅーの。もう一度、「テン! テン」と言いながら20,000ドン札2枚をドライバーのほうに見せるMizumizu。ところが、またも、「セブン、セブン」と新聞紙を下のほうで振り回す。その行動、おかしーでしょ、アンタ、完全に!さすがに頭にきて、ドライバーの腕をつかみ、降りようという仕草で、「ホテル、ホテル」と言うMizumizu。ホテルに一緒に行けば、20,000ドンをくずしてもらって、お望みの「セブン=7,000ドン=35円」を払ってあげられるからね。しかし、「ホテル」で明らかに一瞬ひるむドライバー。やっぱり後ろ暗いことがある証拠だ。タクシーのドライバーはお釣りを持っていないことがある、という情報は読んだが、まったく所持金がない、なんてことあるだろうか? このドライバーは、自分からは一銭も見せないのだ。10,000ドン札さえ持っていたら、20,000ドン+10,000ドンをさっさと渡して降りたのだが、なまじっか27,000ドンのところで停められたので、こんな面倒なことになった。ホテルは車のフロントウィンドウから見えている。もう少し走って、左折して戻れば、メーターはもっと上がってもっと稼げるハズなのだ。ところが、ホテルの前には行かず(つまり、行きたくない理由があるのだ)、「ココだ」と嘘を言い張り、さらにお釣りを出さずに、「セブン、セブン」怒ったように叫びながら新聞紙を押し付ける。そうやってスキを見て、こっちのウエストポーチかバッグから何かスるつもりなんじゃないの?降りようと言っても降りないし、もっと行けと言っても「ココだ」と言い張るし、「セブン」と叫んで20,000ドル札2枚は取らない。面倒だから、20,000ドル札2枚渡して降りよう…と普通の日本人なら思うかもしれない。行きは51,000ドンを負けてくれて50,000ドン(250円)で行ったのだし、40,000ドン(200円)払っても、まだそっちのが安い。だが、そこはMizumizu。こんなに怪しい、目的地に行きもしないドライバーに、そこまで払う気はない。20,000ドン札1枚(つまり100円)だけ渡し、ジロッと蔑むような一瞥を思いっきり投げて、車を降りた。13,000ドンのお釣りを10,000ドンでいいと言ってるのに、1,000ドンさえ見せずに、我を張ったのはドライバーのほうだ。根負けしたように、「自分は悪い人間じゃないですよ」的な顔をするドライバー。車を降りてしまったら、「なぜかもう」大声は出さなかった。Mizumizu母も降りた。人通りの多い通りだ。周囲に危険は感じない。一通の道に挟まれた広い歩道を歩き、道を渡ってホテルに着いた。人形劇が終わったのが午後6時ちょっと前で、午後7時からホテルのディナーの予約があった(ツアーに入っていたもの)。タクシーと悶着はあったが、無事部屋に着いて、ディナーのために着替える時間は十分にあった。Mizumizu母とは部屋で、やはりあの故障ドライバーと新聞紙ドライバーは結託していて、あらたな詐欺をやろうとしたのではないか、と話し合った。まず故障と言って、いくらか取る。10,000ドンとか15,000ドンぐらい。その時、お客が一人なら、前に乗せて、故障ドライバーとなんだかんだと言ってる間に、横のドライバーが、スキがあれば何かとる。あるいは物色する。完全に変な場所に連れて行ったら、悪質な犯罪者だが、ホテルが見えるあたりまで来れば、それこそ万が一スマホで通報されても、「間違えた」で、すむ。このごろの観光客はスマホを持っている。MizumizuもSimカードを入れ替えたスマホを持っていた。そして、数字が分かってない客ならぼったくり(最初に50,000ドンを出したときに、0を切るマネをしたが、そのときの客の反応で、数字がどれくらい分かっているか、分かるはずだ)、Mizumizuのように数字が分かってる客だったら、細かいお金を強い口調で要求し、そのドサグサでお金を抜く。そんな手筈だったのではないか? しかし、残念ながら、Mizumizuはスリ天国のイタリア、フランスを自由旅行で渡り歩いてきた人間。スリには狙われたことがあるが、すられたことは一度もない。イタリアの人気のない路地で、段ボールを突き出して金目のものを狙ってきた少女2人組(やり方はジプシーだが、見かけは完全な白人だった)がいたが、逆に突き飛ばしてやった。「お~」と急に被害者みたいな声を出してたっけ。ドロボーのくせに、急に被害者ヅラすんなよ!と汚らわしいものでも見るように、睨みつけてその場を去った。プラハでは、市内バスでスリの男女グループに狙われたが、気づいたところで、「何やってんのよ!」と、力づくで捕まえてやろうとした。作戦が失敗したスリグループは、慌ててバスから転げ落ちるようにして逃げ出していったっけ。あの時も他にも白人の客がたくさんいたが、非力そうな東洋人と見て、ターゲットにされたのだ。今回のホーチミンのタクシーは、結果として、27,000ドンの7,000ドンを踏み倒し! 20,000ドンしか払わなかった。ホテルの部屋で念のため、残金を照らし合わせてみる。前回の旅行で余ったドンもいくらか持っていたし、その日に所持していたドン札が何枚かまでは覚えてなかい。だから、数十円、数百円レベルの細かいところまではよく分からなかったが、少なくとも千円レベルでの被害はなかったハズ。というか、多分残金も合っていたし、いくら新聞紙に気を取られたとはいえ、ウエストポーチの中からも、ショルダーバッグに入っていた財布からも、紙幣を抜かれたようには思えなかった。本当に、ただお釣りがなかっただけなのだろうか?いや、それにしてはあまりに行動が変だ。ないならないで、最初の故障ドライバーのように、「これだけしかない」と見せればいい。一銭も持ってないなんて、ありえない。Mizumizuはこう見えてガードが堅いし、新聞紙ドライバーの「その方面」のスキルが「まだ」高くなかっただけかもしれない。もちろん、真実は闇の中だが。ホーチミンのタクシードライバー。ロクなもんじゃない。しかし、ハッキリ言って、ヨーロッパのぼったくりタクシーのほうがタチは悪いと思う。ニース(フランス)のメーターこっそり違法操作ドライバーの悪辣な表情ったらなかった。居丈高で、東洋人の女を明らかに見下していた。弱い者からは平気でぼったくる、という強引な悪質さに比べれば、ホーチミンのベトナム人はそこまで根性ねじくれた「ワル」な感じはしなかった。結果として踏み倒されて、諦めているわけだから。この「事件」は、ホーチミン滞在2日目の出来事。実は1日目にも、目的地に連れて行けなかった「白タク」をMizumizuは踏み倒したのだ。なぜ「白タク」に乗ってしまったのか、なぜ踏み倒したのかについては、また後日。ここで教訓:とにかく、現金はあまり持ち歩かないようにしよう。ホーチミンの店は、数百円レベルでもカードが使えるし、カードが使えないような地元民向けのような店はとても安い。例えば、地元民だらけの店でバインミーとイチゴのスムージーを頼んだが、どちらも25,000ドン(125円)だった。カードをメインに使えば、1日3000円分も持っていれば、それでも多すぎるぐらいだ。大きなお金を持っていなければ、大きく取られることもない。小額だったら、たとえ盗まれても、痛手は小さい。パスポートは街中では要らないから、必ずセーフティボックスへ。Mizumizuは自分のパスポート番号を記したページのコピーだけをウエストポーチに入れて持ち歩いていた。これがあれば、身分証明にもなるし、免税手続きなどもできる(ホーチミンでは必要ないが)。帰りのチケット(このごろは1枚ペラの紙のことが多い)も必ずセーフティボックスへ。そして、タクシーの運転手が騒いでも、財布の中身は極力見せてはいけない。10,000ドンや20,000ドンぐらいなら、切り上げて払いさっさと降りたほうが、結果として安心だ。ドサクサに紛れて、金目のものをとられたり、落としたり、置き忘れたりしたら、そちらのほうが痛手だ。ホテルで10,000ドン札を多めに替えてもらっておくといいかもしれないが、ホテルには置いてないこともある。Mizumizuは実はホテルで100,000ドン札を細かくしてもらったとき、10,000ドン札をもっとくれ、とスタッフの女性に言ったのだが、「10,000ドン札は、それが最後の1枚」と言われ、50,000ドン札1枚、20,000ドン札2枚、10,000ドン札1枚しかもらえなかったのだ。