事の発端は避難所暮らしから。でした。。5
私はトン汁を食べたら直ぐに家へ帰るつもりでいたのですが、兄が、また、何やら、やらかした様子だったので事の次第が分かるまで残る事にしました。先ほど泣き叫んでいた女性は、正規のボランティアで派遣されていた女性が宥めておりました。ボランティアの女性:『貴女のせいで震災が起きたんじゃないのよ。誰のせいでもないの。自然災害なんだから。貴女のせいじゃないの。』と優しく宥めておりましたが、避難所の女性は、『私が悪いのよ!私が悪い因縁を持っていたせいで家族が死んでしまったのよ!』と号泣していました。ボランティアの女性:『(優しく)どうして、そう思うの?』避難所の女性:『だって、あの人達が、そう言ってたんだから!私が持っている先祖の悪い因縁を、もっと早く切っていたら家族は死なずにすんだって、あの人たちが言っていたんだか!。』ボランティアの女性:『先祖の因縁で震災が起きたのでもなければ、貴女のせいで震災が起きたのでもないのよ。』と宥めていたが・・・・・・避難所の女性は、『今直ぐに、私が持っている先祖の悪い因縁を切らなければ、もっと悪い事が起きるって言っていたのよ。生き残った家族も、皆、霊界へ連れて行かれるって言っていたのよ!』と錯乱状態に陥ってしまっておりました。正規のボランティアの女性が錯乱状態に陥ってしまっている避難所の女性に何を話しかけても彼女には全く届いていない様子でした。正規のボランティアの女性は錯乱状態の彼女を『大丈夫だから。私達が側にいるから。大丈夫だから。』と話しかけながら、ずっと抱きしめておりました。私は、“まさか、あいつ(兄)も、これに1枚、かんでへんやろな~ぁ。”と思いつつ避難所の責任者と兄が戻ってくるのを待っておりました。母の様子を見やると、真っ赤な顔をして怒っていました。無言で。傍から見ても激怒しているのが分かるほどに怒っておりました。私と母は押し黙ったまま待っておりました。時間が経つにつれて寒さもましてきました。50分近く経った頃か、責任者は兄を連れて戻ってきました。兄は、何やら、しょげ返っておりました。責任者の方は私の顔を見ると、『よかった。居ってくれていたんですね。』と言い。炊き出しの一件について簡単に話をしてくれました。避難所の責任者は私に、『僕も、あの人達は怪しげやな~。とは思っていたんです。僕もボランティアですからね。』と言い、続けて兄に、『なあ。君、あの人等に、あんまり深入りせん方がええよ。君だけの事と違うからね。君の家族に、どんな迷惑を被らせる事になるか分からんからね。』私:『あの~。すんません。また何か、やらかしましたん? それやったら、それで父に一切合切、報告せんとあきませんからね。』避難所の責任者:『そうですか~。そしたら、お父さんに「今回は初めてという事で多めに見ることができますから此処に非難していてもらっていても問題ありません。だけど、次に、また同じ事を繰り返したら、この避難所から出て、自分達で別の避難先を探してもらわなくてはいけなくなります。このような事は二度と、させないようにしてくださいね。」と伝えてもらえますか?』私:『はい。分かりました。父に、そのように伝えます。』避難所の責任者:『あ~。それと、妹さん?(私を指差して)あの人達に何か奇妙な事を言われたら、直ぐ僕に知らせてくださいね。僕が留守のときは出入り口のところに居る女の人に言うて下さい。それだけです。よろしくお願いします。』と言い一礼して自分の持ち場へと戻りました。私:『(兄の方を向いて)今日のことは全部、父ちゃんに言うとくからな。父ちゃんと、よう話しぃな。ほな帰るわ。』母:『何や泊まるんとちがうのんか?じいっと座っとるから泊まるんかおもてたのにから。』私:『さっき言うたやろ!!事情が分かるまで居るけど、事情が分かり次第、すぐに帰るからな。と、言うたやろ!!ほな帰るからな。さいなら。』と、私は避難所を後にしました。避難所の外へ出ると日も、とっぷりと暮れて辺りは真っ暗でした。日没に備えて太目の紐を付け、タスキ掛けにして下げていた懐中電灯を左手に持ち、前方を照らしながら歩き、右手には護身用の金槌を持っておりました。もぎ取られないように、これにも太目の紐を付け、それへ手首を通して握っておりました。両手には、もちろん手のひら部分にゴムのイボイボが付いた軍手を穿いてました。避難所は神戸商船大学の広い敷地内にある体育館を解放してもらっていたので、学校の正門のところまで歩いてゆくにも7~8分くらい掛かっていました。そこから家まで25分くらいの道のりでした。私は学校の正門を出て約10分くらい歩いていた辺りで人影が急いで物陰に隠れるのを見ました。私は、とっさに、“出たな!”と懐中電灯の灯りを消して、私も暗がりへと身を潜めて怪しい人影の方へと少しずつ間合いをつめてゆき、辻強盗が隠れている地点を確認すると・・・・金槌を確りと握り締め。無言のまま、辻強盗めがけて突進すると、辻強盗は『ひぇぇぇ!』と、とっさに走り出した。私は、その人影が辻強盗であると思っていましたから、直ぐにでも金槌で、ぶん殴れる体勢で追いかけました。辻強盗は少し走ったところで足がもつれたらしく転び、『お、お金やったら、、、お金やったら財布ごとあげますから命だけは助けてくださいーーーー!私も歩いて家族を探してるんです。(;_;)命だけは助けてくださいーーー。』と哀願しておりました。私:『なんや~ぁ。辻強盗と違うんかいな?』辻強盗に間違えられた男:『よかった~ぁ。女の人やった~ぁ。よかった~ぁ。(ほーぉっと、安堵の溜め息を吐いた。)』私:『女やから強盗やないとは限らんで~ぇ。』辻強盗に間違えられて男:『え~~~!あ、、あんた・・・あんた・・・』私:『強盗と違います。』辻強盗に間違えられて男:『ほんまに・・・?』私:『私は辻強盗と違うよ~ぉ。けど、あんたは辻強盗と違う保障はどこにもないやん?何処の誰とも知らんし。』辻強盗に間違えられた男:『オッチャンは、三宮の方から、ずーーーっと長男一家の行方を探して此処まで、やっとの思いで辿り着いたとこやたんです。今朝、おにぎりを1個、食べたきりで腹が減って困ったな・・・と思っていたとこへ、お姉ちゃんが来たんや~。ビックリしたで~ぇ。』私:『ごめんな~ぁ。そうやったんですか~ぁ。家族を探しに来はったんですか?家族が居てる場所は分かってますのん?で、家族は息子さんだけですか?』辻強盗に間違えられた中年の男:『私の家族は、お陰さんで無事でしてんけど、長男一家と連絡が全く取られへん状態ですから、まずは私の家族を非難させてから、やっとの思いで此処まで辿り着きましてん。』私:『そういうことでしたら、私の家族が非難している避難所で聞いてみはったらよろしかもしれませんわ。伝言板を作ってくれてますから居場所が分かるかもしれへんし、もしかしたら居ってかもしれませんし。案内しますわ。』と、後は歩きながら話をした。中年の男:『帰りかけてやったんと違いますか?場所を教えてももろうたら自分で行きますさかい。』私:『いいですよ。知らん人がいきなり尋ねていくより、顔を知っている者が間に入った方がええやろし。それと、辻強盗が出たらあかんし。』その後も避難所へ着くまで雑談をしながら歩いていた。私は、殆ど聞き役でした。中年の男は、とても不安そうな様子で歩いていました。来た道を戻り、避難所へ付くと伝言板の前には人だかりが出来ておりました。私:『あの~、すんません!一寸、見せてあげてください!すんません。』と中年男性を伝言板の前まで案内して、私は玄関先で男性が身内の安否確認をするのを待っておりました。中年男性:『(肩を落として)長男の名前も長男の家族の名前もありませんでした。』私:『ほな、責任者の人に聞いてみましょ。この時間は居ってのはずやから。』と私は帰り道で出会った中年男性を責任者をやってくれていた男性のところへ案内して、私:『帰り道で会うたんですけど行方不明の家族を探してはるんです。詳しい事は本人から聞いてください。』と言って、私は母と兄がいる場所を指差して、『オッチャン、私は家族のところに居りますから、何かあったら呼んでな。』中年男性:『ありがとう。お世話掛けます。』中年男性は責任者をやってくれていた男性に事情説明をしはじめた。母:『帰ったんと違うんかいな?』私:『帰る途中で行方不明になった家族を探しとう人に出会うたから案内してきたんや。責任者が「泊まってもええ。」言うたら、ここに寝かしたってな。それと朝、握り飯を1個食べた限や言うてたから何か食べさしたってな。そんだけ。』と説明すると・・・・兄は事情も全く分からないのに責任者と中年男性の間に立とうとしておりました。私はメッチャ恥ずかしかった。こういう兄がいる事に。責任者の男性:『君は何も言わなくていいから。この人(中年男性)が自分で説明してるところやからね。君は何も説明しなくてもいいから。妹さんとお母さんと一緒に居ってください。』と大きな声で言った。兄は不機嫌になって戻ってきて、『なんやねんな~。あの責任者!偉そうにな!』と自分の可笑しな行動には何も気付かず、責任者の、ごく当たり前の対応を非難しておりました。私は、黙って体育館の壁にもたれて座っておりました。5分ほどが経ち、帰り道で出会った中年男性が私達のところへ来て、『お姉ちゃん。ここに長男一家はおらへんかってんけどな、今晩は、ここに泊めてもらえる事になりました。ありがとう。』私:『よかったな~ぁ。ほな、私は家へ帰りますわ。水も食べる物もありますから好きなん食べてな~ぁ。ほな。』中年男性:『すんません。ありがとう。』私:『困ったときはお互い様やから、かまへんよ。ほな、帰りますわ。オッチャンもゆっくり休んでな。』中年男性:『せめて玄関まで送らしてな。』私は中年男性と避難所の玄関先まで一緒に行った。中年男性:『ごめんな。家まで送ってあげられたらええねんけど。』私:『家まで送ってもろうたら、また、ここ(避難所)まで送ってこんとあかんさかい、ここでええよ。』中年男性:『何や、反対やな~』私:『こういう時やさかい、ええやん。気にせんと。ほな、ここで、さようなら。』と私は避難所を後にしました。今度こそ本当に家に帰りました。でも、こんどは途中で『石やん!』と親父の知人に、親父と間違えられて呼び止められました。私:『誰や!』親父の知人『わしや!』私:『何所のわしや!』親父の知人:『××の角を曲がったとこの△△や。』私:『なんや、オッチャンやったんか。父ちゃんやったら向こう(前方)から鉄の棒持って歩いて来よるで。』親父の知人:『モモンちゃん、えらい遅い時間に何所へ行っとったんや?』私:『一寸、用事で避難所へ行っとってん。のんびりしとったら日が暮れてしもうてん。』親父:『帰って来たんか。あんまり遅いから何かあったんかと思うて迎えに行きよったとこや。何があったんや?』私:『家に帰ってから話をするわ。』親父は『ほな、先に家に帰っときー!』と言って、親父の知人と何やら話し始め、地域の集会所に使わせてもらっている家へと向かった。