近江商人” 陰徳善事 ” スピンオフ編
近江商人の仕事へのストイックな姿勢を表現する言葉がある。 ”しまつしてきばる ”五個荘商人の中井源左衛門(近江商人)がこの言葉の意味を解説している。”金持ちになるのは運ではない。(きっぱり)酒宴、遊興、贅沢をせず、ひたすら ”始末する”ことを心がけて商売に励むことが、5万両、10万両というお金を産む唯一の方法であり、貪欲な投機的商いは、いづれは自然の道理に見放され、結果的に成功に結びつくことはない。”始末する”ことと”ケチ”とはまったく違う。”ケチ”では金持ちになれない。(きっぱり)社会のために大枚をはたくときははたくが、無駄な金は使わず、世のため人のために生きる金を使い、飲むときには飲む、遊ぶときには遊ぶ、節度を持つことが必要で、金持ちになるためには、常に ” 始末の心 ” を忘れず、驕り(おごり)の心を戒めなければならない。”幕末期の英雄、勝海舟の書いた本、氷川清話の中に、一人の近江商人が登場してくる。塚本定次という男。勝海舟は その男を絶賛している。塚本という男は、滋賀県の山林のために2万円(現在の貨幣価値では7億円)を寄付したのだった。塚本の言葉。。。 ”この金がなくなる頃には、 山林も繁殖するだろう。自分はそれを見届けることは出来ないが、 天下のためなら仕方がない。 50年先の仕事をしておくことにしよう!”これが、近江商人の品格と言うものだ。