マクドナルドの考え方 第7話 ”表と裏”
日本マクドナルドのCEO(最高経営責任者)原田泳幸(はらだえいこう)さん。原田社長が会社(日本マクドナルド)まで通勤してくるとき、他社のファーストフード店の前を通ってくるそうだ。原田さんの出勤時間は早く、まだ、そのファーストフード店は開いていない。そのファーストフード店の前を通ると。。。窓のブラインドが。。。何か所か、折れ曲り。。。見苦しい状態だった。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。原田社長は言う。”人が見ていないと思うようなところにも、人の目はあります。”わたしは、この 原田社長の考え方の源流は、原田社長の父親の”人となり”からきているような気がしてならない。では、その父親の ”人となり”とは、 どんなものか。。。原田社長の実家は、養鶏場を営んで(いとなんで)いる。ピヨピヨとヒヨコが入荷してくると、一羽、また一羽と、手作業で予防接種をしてゆくそうだ。そして、それから50日後、ブロイラーとして出荷をする。その出荷の際に、また、一羽、一羽と手作業でカゴに詰めてゆくそうだ。出荷をする際には、一度に5000羽~1万羽以上も出荷をする。原田社長も少年の頃、よく手伝わされた。”ブロイラーというのは、明るくなると騒ぎだすので、 つかまえようとすると。。。 養鶏場のなかを逃げ回り、 端(はじ)の方へ集まってしまうんです。 そのため重なり合って圧死してしまう危険性があります。 だから出荷の作業は、深夜の2時頃から始まるんです。” まず最初に、 ブロイラーを入れるかごを20段ずつ積み重ねてカゴの重量をはかります。 一つのカゴには20羽ずつブロイラーを詰め込み、 そして、ふたたび総重量をはかってから出荷をします。 この作業を朝が来る前までに、行わなければなりません。” たとえて言うと。。。 お風呂の水を満たすのに、 スプーンで水を運ぶような気の遠くなる作業です。 ブロイラーが一万羽とも。。なると。。。さすがに。”原田少年は、冬の寒い時、コートを着て作業をしようとした。。。すると、父親に おもいきり怒鳴られた。また、父親に、なにか道具をとってくるようにと、指示された原田少年は、寒さと 眠い目をこすりながら。。。歩いて取りに行こうとした。。。すると父親は、 ”走れ!”と原田少年を一喝(いっかつ)した。原田少年の父親は、カゴにブロイラーを詰めこんだ後、カゴの外についたニワトリの羽根を丁寧(ていねい)に取り払ってから計量し出荷していたそうだ。それを見ていた原田少年は、父親に言ったそうです!”お父さん、僕はさっき、”走れ”と お父さんに怒鳴られて 急(せ)かされましたよ。 なのに、お父さんはニワトリの入ったかごを計量するのに、 いちいち時間をかけ、 カゴの外側についた羽根を取り払ってから計量するもんだから、 えらく時間がかかってしまう。 寒いんだから、早く仕事しようよ。 羽根ぐらいじゃ、ニワトリの重さはかわんないよ。”すると父親は、原田少年にいったそうです。”うちの家は、三度も火災にあっているんだ。 家も、何かも燃えてしまったことがある。 でもな、 ひとつだけ燃えなかった財産があるんだよ。 それはな、 人さまからの信用だ。 火災にあい、 どうしようもないときでも、人さまからの信用があったから、 みんな、うちの養鶏場の経営を応援してくれたんだよ。 いいか、 信用ってのはな、 人の見てる前で つくるもんじゃないんだ。 人には見えないところで、つくるもんなんだよ。”原田社長の父親は酒もタバコもしない。仕事一筋の男だ。つい最近まで事業を拡張しようとしていたそうだ。あるとき、原田社長が、父親に聞いた。”なぜ、89歳にもなって、まだ事業を拡張しようとするのか?”すると原田社長の父親は、”自分の老後のためだ。”と答えた。原田社長が、”もうすでに りっぱな老後だよ(笑)”と言うと。。。父親は、みじかく。。。”老後は95歳からだ。”と答えたそうだ。