[GW2008]の記事一覧 | ガーデニングで癒しのひととき

白崎海岸とウミネコ

5月6日、和歌山県由良町の白崎海岸に立ち寄ることにした。道中、ウミネコがたくさんいる岩を発見した。こちらに背を向けて体を左右に揺すりながら座り直しているのが数羽いる。ここで繁殖しているらしい。ちょっと失礼して写真を撮ることにした。羽づくろいをしているのもいる。すべてが子育て中ではないようである。急に立ち上がりかけた個体をすかさずパチリ。写真の左端にちらりと見えているのがつれあいで、ちょうど戻ってきたところのようである。うずくまっていたほうは、完全に立ち上がってしまった。足元には何も見えない。首の羽づくろいをしてもらって気持ち良さそうである。羽づくろいはほんの数秒で終わった。ありがとうと言うのではないとは思うが、空を見上げてミャオー、ミャオーと鳴く。抱卵の交代前の儀式のようなものかとも思ったが、卵はなさそうなので、違うだろう。あまり邪魔をしてはいけないので、この写真を最後に車に戻った。目指す白崎海岸が見えてきた。石灰岩なので白く見えるのである。駐車場に車を止めて外に出ると、少し強めの風が吹いていた。ここにもウミネコがいるが、繁殖はしていないようである。周辺を散策してみる。イソヒヨドリの鳴き声がするが、日光がまぶしくて撮れなかった。ここのほうがウミネコの数は少ない。さすがに人間が多いところでは繁殖は無理だろう。白い石灰岩の上ですましているところをパチリ。らせん階段を上って展望スポットに出る。海もきれいである。ここは時間に余裕があったため、たまたま立ち寄ったのだが、思わぬ出合いがあってよかった。GWの話はこれでおしまい。

白浜町と田辺市の花と野鳥と虫

5月5日、朝の7時20分頃だというのに、和歌山県白浜町の円月島周辺には大勢の人がいた。小雨はすぐにやんだので、とりあえず写真を1枚撮る。せっかくなので浜辺に下りてみることにした。西の方へと歩いていくと、岩壁に穴が開いており、その向こうに平たい岩が見えている。なかなかおもしろい風景である。さらに西へ進む。コンクリートの堤防のようなものが海に向かって伸びている。その先には円月島が見える。干潮のときには渡れるのだろうか。振り返ると、岩壁にはボコボコと穴が開いており、なかなかおもしろかった。さらに進む。潮はかなり引いているようで、砂浜がうっすらと現れている。波の跡だと思って触ってみると、砂浜ではなく、砂岩である。このかすかな筋模様はさざなみの跡なのだろうか。写真に撮ろうと思ったが、なんの変哲もない砂地にしか見えないのでやめた。後で地図で確認したら、1500万年前のさざなみの跡である化石連痕の位置よりもずっと西だったようである。地図に載っている場所まで行けば、もっとはっきりとしたものが見られたのかもしれない。円月島を先ほどとは逆方向から見る。この頃から再び雨が降り始めたので、陸に戻って屋内で時間をつぶすことにした。 12時20分頃、雨はやみかけていた。今のうちにと千畳敷を見に行く。名所なので人が多く、人間が写らない場所を探すのが大変である。砂岩や礫岩などの平らなものが幾重にも重なり合っている。引っかいたような落書きがあちらこちらに見られるのが興ざめというよりも、なんとも腹立たしい。岩の上を南へと歩いていく。引き潮で海藻があらわになっている。地層のように重なり合った岩肌がここの特徴である。 12時50分頃、雨はすっかり上がっていた。いつ降り出すかわからないので、さっさと三段壁に移動する。土産物屋の近くの展望スポットからまずは全体を眺める。高さ50mという岩壁はかなりの迫力である。周辺にはトベラがたくさん咲いている。この断崖絶壁の少し下のほうになぜかドバトが数羽いた。家族が「『岩壁のハト』や」と言うので、悪ノリして「ハ～トは～来まし～た～。きょ～うも来～た。」と歌っているうちに、ドバトたちはどこかへ飛び去ってしまった。三段壁の上に行こうと、北に向かう。端までは行けなかったが、さらに近くで見ることができた。岩の隙間から生えたイワタイゲキが黄色い花を咲かせている。ここから車で北上し、田辺市の天神崎に行った。トイレの近くから日和山をまわるコースを歩いてみることにした。植物がうっそうと生い茂り、薄暗い山道をひたすら山頂に向かって歩く。植物には詳しくないので、何がどう貴重なのかはよくわからないが、とりあえず、踏みつけないように注意する。山頂は砂岩のようである。たいした高さではないが、周辺の町並みがよく見える。下山中、足元から1匹のチョウがよたよたと飛び立ち、すぐにまた地面に止まった。クロコノマチョウのようである。 15時を過ぎると、雲行きは再び怪しくなってきた。浜辺に下りると、遠くでトビが取っ組み合いをしている。なんとか1枚撮れた。小さな島の上に灯台が建っている。これを撮ろうとしていると、大粒の雨が降り始めた。おまけに、激しい風が吹き荒れる。必死で1枚撮り、車内に逃げ込んだ。結局、この後は激しい風雨のため海岸沿いの散策は諦めざるをえなかった。天気が悪かったわりには、見たかったところはほとんど見られたので満足である。欲を言えば、人が少ないともっとよかったのだが…。

田辺市の花と野鳥と虫

5月4日、10時過ぎに和歌山県田辺市の護摩壇山にある森林公園ワイルドライフに到着した。あいにくの曇り空である。野鳥の姿はよく見えないかもしれないと思いながら、入口広場から観察スポットへ向かう。道はなだらかで歩きやすい。枯葉が積もった階段を下り、山頂展望台方向へと歩いていく。観察スポットはどこなのか、よくわからなかった。ふと足元を見ると、緑色と青色に光る虫がいた。ルリセンチコガネというらしい。正しくは、オオセンチコガネだが、地域差があり、和歌山県などのものは青く、京都などでは緑色をしている。山頂展望台がどのようなものだったかは、なぜか記憶がない。あまり見晴らしがよくなかったのかもしれない。10時半頃には通過したと思われる。ここから進入道路と呼ばれる舗装道路に出る。道路の脇にはアセビが咲いている。ビロウドハナアブが蜜を吸っていたが、写真を撮る前に逃げてしまった。途中から林間広場方面への方角と距離を記した標識が出てくるようになった。ときどき車が通るが静かである。10時50分過ぎ、シャクナゲの森の入口が見えてきた。山桜の大木がまだ花を咲かせている。木々が生い茂って少々薄暗いシャクナゲの森のシャクナゲは、まだつぼみも見えない。開花は5月中旬頃らしい。シャクナゲの森を抜けると総合案内施設が見えてきた。車が数台止まっている。ふと気付くと、その左側に見えるシャクナゲの中にちらほら咲いているものがあった。ここのほうが日当たりがいいからだろう。ここから進入道路経由で引き返すことにした。しばらく山道を進み、進入道路に出る。青く光るルリセンチコガネが飛んでいくのが見えた。11時半頃、侵入道路脇の針葉樹のてっぺんでさえずっている野鳥を見つけた。ヒガラのようである。曇っているので色はよく見えない。入口広場へと続く山道を戻る。木々の間を小さな野鳥がうろちょろしている。少し止まってはまた別の枝に移るため、なかなか姿が確認できない。こちらには気付いているようだが、逃げる気はないらしく、ときどき見やすい場所にふっと出てくる。ちぇっ、後ろ姿か。さらに粘ること数分、なんとか横を向いた姿が撮れた。この顔はもしや…。慌てて頭頂部を確認する。カッパの皿のような模様がある。そうか、こんなところで初めて見られるとは思わなかった。キクイタダキである。入口広場に到着したのは、12時半頃である。あまりアップダウンがなく歩きやすいが、距離はそれなりにあった。聞きなれない野鳥の声がいろいろ聞こえたが、どこにいるのかわからなかったのが残念である。14時半頃、同じく田辺市の奇絶峡を見学する。道路から不動滝が見える。周辺のクリの大木は満開のようで、山の一部が白く見える。とりあえず、不動滝を見に行く。滝つぼのそばまで行けるようになっており、岩の上部には階段がある。近くに磨崖仏があるらしいが、そちらへは行かなかった。さらに南下し、田辺市のひき岩群国民休養地へ向かう。センターの前の駐車場から散策開始である。動鳴気峡と呼ばれるあたりのせせらぎの横を通る。右手に大きな岩が見えるが、あれがひき岩だろうか。歩き始めて10分後、電線に止まる野鳥を発見した。イソヒヨドリのメスだろう。さらに10分後、電柱の上でさえずる野鳥を見つけた。逆光なので、ゆっくりと電柱を通り過ぎて反対側から見てみる。こちらには気付いているはずだが、知らん顔で鳴き続けている。ズームすると、イソヒヨドリのオスである。お前、こんなにかわいく鳴けるのか。護摩壇山の森林公園ワイルドライフでよく聞こえていたのはこの声である。しばらくすると、別の野鳥がやってきてこのオスの近くに止まった。今度はメスのほうである。さきほど見かけた個体かもしれない。2羽は連れ立って飛び去った。再び歩き始めてしばらくすると、展望地・ひき岩と書かれた標識が現れた。これに従って進むことにする。スタートから、40分ほど経った頃、大きな岩が見えてきた。その上を歩いていく。岩のてっぺんから360度見渡すと、周囲は同じような巨岩だらけである。ヒキガエルが座っているような形の岩が連なっているので、これをひき岩群という。岩肌も変わっており、肌色や灰色のマーブル模様があったり、きのこのように丸くぼこぼこ突き出たところがあったりする。足元を撮影してみた。これらの巨岩のなかで一番大きいものをひき岩というらしいが、どれだろう。わからないまま道を下る。もしかすると、足元のがそうだったのかもしれない。山道を抜けると、民家の脇に出た。ここから舗装された道路が続いている。センターに向かってひたすら歩く。やっとスタート地点にほど近い池が見えてきた。周辺は公園として整備されている。ここから園内を通り、無事センターに到着である。所要時間は約1時間半と、時間もほどよく、なにより景色がよかった。この日は山中をよく歩いた。曇りがちで涼しく、歩きやすかったため、距離のわりには楽だった。和歌山の山中もいいものである。

大阪市と和歌山北部の花と野鳥と虫

5月3日、まずは大阪市の大阪南港野鳥園へと向かう。9時の開園とほぼ同時にセンターに入り、備え付けの望遠鏡で干潟をのぞいてみる。遥か彼方に見えるのはトウネンとアオアシシギだろうか。ここからでは遠すぎるので、北の観察所に向かって歩いていく。ヒヨドリのけたたましい鳴き声に混じって、ムクドリの声がする。観察所からのぞくと、干潟に数羽見える。ここからでもまだ遠いのだが、精一杯ズームし、さらにトリミングする。オグロシギのような気がする。チドリの姿も見えるが、遠すぎて形しかわからなかった。いったんセンターに戻り、南の観察所へ行く道は閉鎖されていることを確認し、10時過ぎに再び北の観察所へ行く。途中で羽づくろいをしているムクドリを見つけた。鳴き声が聞こえなかったら何だかわからなかっただろう。はばたきの広場で再びムクドリに会った。最初はこちらを警戒していたが、やがて何かをついばみながら薮へと消えていった。 10時半頃、再び北の観察所に着くと、干潟が少し広がっていた。カルガモのつがいが見える。くちばしが下に曲がったシギがいる。チュウシャクシギではないだろうか。チュウシャクシギの向こうにチドリがいる。シロチドリが多いそうなので、それかもしれない。カルガモは泳いでこちらへ近づいてきた。羽づくろいをしている。チュウシャクシギらしきシギは複数いる。何かをついばんだり、陸地をスタスタ歩いたりしている。シギたちは大きさもさまざまである。デカいのはオグロシギではないかと思うが、それ以外はわからない。 11時を過ぎると、干潟はますます広がって野鳥たちも増えてきた。再びセンターに戻って望遠鏡でのぞいてみる。カワウやダイサギの姿も見えた。干潮は11時半頃である。今が一番いい時刻なのだが、野鳥の種類はこれ以上増えそうもないので、引き上げることにした。午後は和歌山県岩出市の緑花センターに行った。パノラマ花壇にはパンジー、ビオラ、リナリアなど、おなじみの花々が咲き乱れて実にカラフルである。近づいて見ようと思ったのだが、家族が暑さでバテ気味なので、つばき園や野草園などをまわって香りの森に出る。さまざまなハーブのいい香りが漂っている。日陰でしばし休み、温室に入る。中はサボテンだらけである。白星プカレンシスプカレンシス雪絹丸雪絹丸玉扇白蛇丸白蛇丸吹雪柱月影月影ポトシーポトシー白竜丸白竜丸サボテンの部屋の隣では、その他の植物が見られる。パイナップルバナナおなじみのクンシラン、ブーゲンビリア、ベゴニアなどもあったが、一番惹かれたのはリプサリス・バッキフェラである。半透明の丸いものが茎にたくさんついている。別館展示室もサボテンだらけである。こちらは個人の所有らしい。金毛丸綴化般若錦17時、和歌山市の番所庭園に着いた。ここは黒船の見張り番所跡であり、古来から風光明媚な所として有名らしい。かなり手入れされた芝生が広がっている。海岸へ行ってみることにした。細く裂けたような岩壁や、穴だらけの岩が見える。トベラが白い花を咲かせている。対岸では、トビが旋回しているのが見える。5～6羽はいるようである。たまに取っ組み合いが起こるが、遠すぎて撮れない。旋回しているトビをやっと撮影できた。岩の隙間には、ハマボッスやミヤコグサも咲いている。　ハマボッスミヤコグサ海は澄んできれいである。戻ろうと歩きかけたとき、家族が何かを見つけた。ガだというのだが、私には生き物に見えなかった。ホソオビアシブトクチバというバラ科植物の害虫で、さほど珍しくはないらしい。芝生の上から海を眺める。須崎の鼻万葉集の歌碑この日は海に始まり、海で終わった。暑かったが、なかなか楽しかった。

夕方以降の海遊館

5月2日、海遊館に到着したのは17時45分頃である。予定よりもずいぶん遅れたが、人が少なく、ゆっくり見て回ることができた。最初に現れたのはトンネル型の水槽である。魚たちを下から見ることができるのだが、薄暗いため、残念ながら写真は撮れなかった。フラッシュ撮影が禁止なのは一部の水槽だけのようだが、生き物にフラッシュを使わないのは礼儀だと思う。次はコツメカワウソである。みんなでかたまっている。眠たいのか、動きはほとんどない。ラッコは完全に寝ている。寝顔もなかなかかわいい。夕方以降の水族館もいいものである。ゴマフアザラシよ、お前もか。水族館全体が薄暗いのは、夜を再現しようとしているからなのかもしれない。カリフォルニアアシカももちろん寝ている。魚のなかにも、水中でかたまっているものや、岩に張り付いて動かないのがいた。みんな寝ているのだろう。この時間だからこそ見られた光景だったのだが、フラッシュが使えないので写せなかった。ペンギンの水槽には、1羽だけオウサマペンギンの幼鳥がいた。オウサマペンギンは、コウテイペンギンよりも小柄らしい。オウサマペンギンの幼鳥はもうかなり大きくなっている。茶色い羽毛が乱れているのが見える。再びゴマフアザラシの登場である。この個体は好奇心が旺盛で、逆さに泳いできてじっとこちらを観察していた。マンボウはかなりデリケートらしく、フラッシュ撮影は厳禁である。なんとか撮ろうと水槽に張り付くようにして見ていたら、向こうから寄ってきた。押し合い圧し合いしながらカメラをのぞきこんでいる。なんとか全身が撮れた。マンボウたちがいる水槽はずいぶん大きい。別の角度から再びこんにちは。正面から見た顔は最高である。ジンベイザメの海くんは、この大きな水槽を悠々と泳ぎ回っているので、撮り損ねたと思っても、再びチャンスがやってくることがある。海くんの腹には小さな魚がしがみついている。コバンザメとは体型が違うような気がする。グレートバリアリーフを再現した水槽では、オニヒトデがスポットライトを浴びていた。そこから少し離れた丸い岩の上にエポレットシャークが乗っかっている。今度はまた別の水槽である。海底付近に生息する魚たちがいる。シロボシテンジクザメは3匹が重なり合っていた。ネコザメの上にいるデカい口の魚はクエだろうか。タカアシガニは水槽の壁に沿って並んでいる。再びジンベイザメの海くんの登場である。頬を寄せ合うネコザメ。ほほえましい光景である。まだ小さいメガネモチノウオ（ナポレオンフィッシュ）がいた。休憩中だったようだが、私が不意に近づいたため、撮影直後に逃げてしまった。本当にごめん。トラフザメは変わった姿のサメである。出口から出てすぐのところにクマノミとイソギンチャクがいた。なかなかの人気者である。そのそばには、特別展示のコーナーがある。リーフフィッシュは形が枯葉のようである。クマドリカエルアンコウは、体長が3cmほどしかない。チンアナゴは砂地から顔を出している。その他には、テッポウウオが虫を撃ち落す映像などが見られた。フラッシュ撮影をしなかったため、クラゲの仲間など、撮れなかった生き物はたくさんいる。仕方がないが、記憶に留めておけばそれでいいのである。見学を終えたのは19時半頃だから、2時間ほどいたことになる。途中退場が可能なため、時間帯を変えて一日に複数回見学するのもおもしろいかもしれない。夕方以降の水族館は初めてだったが、予想以上によかった。

姫路菓子博と姫路市立動物園

5月2日、兵庫県姫路市に姫路菓子博と姫路市立動物園を見に行った。菓子博は朝から混むそうなので、姫路城の北からアプローチすることにした。競馬場の駐車場に到着したのは9時頃である。シャトルバスを待つ人は案外少なく、30人足らずだっただろうか。9時にすぐ出発するのかと思っていたが、バス一杯に人を詰め込んでかららしく、10分過ぎにやっと出発である。9時半の開園頃には恐ろしいほどの行列ができているらしいが、大丈夫だろうか。シャトルバス昇降口には9時20分過ぎに着いた。清水門ゲートへ向かう人は少ないように思えたが、到着したときには人の行列がとぐろを巻いていた。ムクドリの鳴き声を聞きながら、しばらく待つ。定刻の開門ということは、これでも人は少ないほうなのだろう。平日だからなのだろうが、遠足らしき園児や小学生の団体が複数見える。菓子博といっても、見るだけのところが多いし、見学するのに2～3時間並ばなければならないこともある。子供たちにとっては拷問ではないだろうか。9時半、開門と同時に一番人気の「和と洋のシンフォニー館」へと向かう。すでに3時間待ちである。「和の匠館」は2時間待ち、目的を食うことに変更して夢のスイーツカフェに向かうも、2時間以上待ちである。それならばと、待ち時間がないという日本縦断！お菓子めぐり館に入る。この時点でもう10時である。入口でくるみゆべしをいただいた。予想外の土産ににんまりする。館内には、都道府県別に代表的な菓子が展示されている。もちろん、見るだけである。販売コーナーへは、いったん出てから別の入口前で並ぶ必要もなく、そのまま入れた。どうやら、空いているときは並び直さなくてもいいようである。こちらは、全都道府県ではなく、一部の地方の菓子が並んでいた。沖縄のちんすこうや、京都の八橋、広島のもみじまんじゅうといった、非常に有名な菓子ばかりのようである。ネット通販でも買えそうなものばかりなので、さっさと出る。すっかり諦めモードの家族がソフトクリームでも食べようと言う。くるみゆべしと六甲牧場のソフトクリームを食いながら、次はどこへ行くか考える。気付くと、周辺には我々と同様に、もう諦めてぐったりしかけた人々があちらこちらに見えた。10時20分、「和の匠館」は30分待ちである。よっしゃ、並ぶとするか。結局、入れたのは45分頃である。館内は順路はなく、自由に見ていいそうだが、ほとんどの人が並んで行儀よく見学している。花や鳥をかたどった菓子がずらりと並んでいる。かなり大きいものが多く、直径20cmちかいボタンやアジサイ、藤、桜、チューリップなどの花々と、キジや猛禽類などの鳥とを組み合わせて掛け軸の絵のようにしてある。細工はかなり細かく、葉脈や羽毛の小さな毛の1本1本まで忠実に再現されており、見ごたえがある。猛禽類のひなが親鳥と同じ姿をしているのはご愛嬌か。一番気に入ったのは、ツバキである。菓子でできているので、多少テカテカと光っており、それがツバキの質感とマッチしており、きれいである。松の幹もなかなかよかった。11時10分、「和の匠館」を出て「和と洋のシンフォニー館」へ向かうと、2時間待ちだという。こいつは並ぶしかない。並んでいる最中に、姫路城が見えた。菓子博のキャラクターの「ひめか」ののぼりとツーショットである。 1時間半待ってようやく入れた。曇りでさほど暑くなかったので、待つのは比較的楽だった。「和と洋のシンフォニー館」には、お菓子の姫路城と大名行列が展示されている。ここも順路はなく、姫路城だけを見ることも可能だとのスタッフの声が響いているが、やはり並んで見ている人のほうがが多い。ここも菓子でできた花や鳥が展示されている。20分ほど経った頃、やっと前方に菓子でできた姫路城が見えてきた。ここから地獄の始まりだった。姫路城だけを見ようと、列に加わらず奥へと向かった人々が、このあたりにかたまっていたのである。少しでも近づこうと、我々を押しのけて割り込むわ、後ろから押し出そうとするわ、めちゃくちゃである。「押したらな、こいつら、進まへん！」「はよ行けや！」「止まるな、ボケ！」これやから、人間は嫌いや！こんな殺気だった雰囲気の中、やっと姫路城と大名行列の前までやってきた。意外と小さい。高さは1mもなく、3畳ほどの広さの台の上にお城と大名行列が乗っかっている。人々の服や道具などの小物も細かく丁寧に作ってあるようである。ゆっくり見ているとまた突き飛ばされそうな気がしたので、気が弱い我々はさっさと外へ出る。出口でひめかまんじゅうをいただいた。行儀よくしていた甲斐があったというものである。13時20分、夢のスイーツカフェは1時間待ちである。昼飯は逃してしまうことになるが、とりあえず並ぶ。先ほどのひめかまんじゅうをほおばり、持参した茶で流し込む。30分後、店内に入れた。5店舗のケーキ店がそれぞれ世界三大美女をイメージしたケーキを作っているようである。クレオパトラを3種類、小野小町を1種類買う。店の外のスペースで行列を見ながらケーキを食う。おいしいと評判の店のものだが、何時間も待ってまで食う価値があるほどうまいかときかれると、ちょっと困る。もちろん、まずくはないのだが、あまりにも期待が大きかったため、普通に感じてしまったのだろう。14時10分、待ち時間なしの兵庫のお菓子館に入る。兵庫県の菓子が市町村ごとに展示されている。もちろん、見るだけである。ここはさっさと飛ばしてチョコレートの地球儀を見る。いただいたパンフレットによれば、トリュフチョコ3万5000個を使い、約30日かけて直径約3ｍの地球儀を完成させたとのことである。さらに奥には、お菓子の日本丸がある。これもパンフレットによれば、60日かかって作られた帆船だそうで、船の周りには人間なども飾られている。14時半、この菓子博の会場の一部である姫路市立動物園に入る。かなり昔に一度行ったことはあるのだが、菓子博のチケットがあればただで入れるというのだから、行かないわけにはいくまい。まず見えたのは、水鳥が入ったおりである。冬の間よく見かけたヒドリガモがいる。おい、お前、こんなところで何しとんねん。左側に目をやると、アオサギがいる。おい、お前も何しとんねん！小さな動物園だが、こうした比較的身近なものもいるようである。振り返ると、アジアゾウの「2代目姫子」がいた。彼女はここの人気者である。オウムやインコは1種類ずつおりに入っている。ベニコンゴウインコは2羽とも天井にぶら下がって遊んでいた。コキサカオウムはやたら翼を広げて振り回している。おりは網目が小さいので中が見えにくく、暗い。やっと明るい一角を発見した。ロバとミニチュアホースがほぼ同じポーズでじっとかたまったように動かない。その向かいには、マゼランペンギンがかたまっている。菓子博ですっかり有名になったツチブタもちゃんといた。彼らは非常に臭いにおいがするため、菓子博開催に伴って、においがあまり届かないところへと引越しを余儀なくされたらしい。夜行性の哺乳類で、顔は細長く、アリクイのようにも見える。このおりの前に、「勇気のある方はツチブタのにおいを嗅いでみてください」と書かれた木の箱のようなものがある。ふたを開けてみたが、木の香りしかしなかった。「勇者」は思いのほか多く、何度も開け閉めするうちににおいがとんでしまったのかもしれない。レッサーパンダは歩き回るだけで立ち上がってはくれなかった。ワオキツネザルは、前足で何かを握って食っていたのだが、途中で落っことしてしまった。拾うのかと思いきや、前足をペロペロなめて満足している。ずいぶんのんびり屋である。ホッキョクグマは2頭いた。じっとしているので、斜め向かいのアカカンガルーを見に行こうと歩き出したとき、ザッバーンという大きな水音がして、キャーという悲鳴があがった。慌てておりの前に戻る。おりの前には注意書きがあり、水しぶきを上げて人間に水をかけることがあると書かれている。プールに飛び込んで派手な水しぶきを上げているのは1頭だけである。もう1頭にじゃれつくのだが、頭をはたかれ、適当にあしらわれている。ホッキョクグマはまだドタバタしていたが、きりがないのでアカカンガルーのおりに戻る。起きてはいるが、物憂げに目を細め、胸のあたりをポリポリしていた。動物園の外に出て振り返ると、姫路城が見えていた。この日はやはり、人が比較的少なかったようで、入場者数は3万3100人だったそうである。おかげで菓子博も動物園も満喫できた。曇りで過ごしやすかったのも、ラッキーである。今週末で菓子博は終わるが、姫路城と好古園の入場割引は今月一杯までである。姫路ならいつでも行けるので、今度は花と野鳥を探しに行ってみよう。