加賀潜戸と多古の七ツ穴
5月5日、島根県松江市(旧島根町)の洗たく岩を見学した後、海岸沿いを北東へ進み、同じく旧島根町の加賀潜戸へ向かった。道中、観光船乗り場があったが、陸からも見られるかと思い、通過した。後で後悔することとなる。山道に入ると道標がない分岐点もあったが、なるべく海沿いの道を選んで進む。やっと駐車場を発見した。車は思ったより多いが、みな島根ナンバーである。遊歩道を進んで行くと、ほどなく海岸の岩壁に出た。岩場を下ると小さな灯台があった。この右側に道が続いている。岩場をさらに下り、洞門らしきものを探す。先に行った家族が、洞門を発見したが陸からでは中までよく見えないと言う。とりあえず、岩壁の先端まで行ってのぞきこむ。さらに下ると波にのまれるおそれがあるので、これが限界である。さらに、右前方に洞門のある島があったので、撮る。的島音楽とともに観光船がやって来た。島も見学の対象になっているらしい。引き上げようとすると、岩壁のはるか下方に釣り人がいる。ここは地元の人の釣りスポットらしい。観光客はみな船に乗っているのか。結局、陸から見に行ったのは我々だけのようであった。帰宅後に加賀潜戸を調べて、観光船に乗らなかったことを後悔した。まず、洞門は2つある。内陸にある旧潜戸は奥行き50mの洞窟になっており、観光船で上陸してトンネルをくぐり、賽の河原伝承のある浜辺を見て帰るようになっている。もしかして、道中、海岸で行き止まりの場所に車が何台もあり、右前方に洞門らしきものが見えていたのがそうだったのだろうか。釣り人が大勢いたので、違うと思い、そのまま左側の山道を登っていったのである。さらに北、灯台の下に新潜戸がある。三方に分岐した洞門をくぐり、的島を洞門の中から眺められるらしい。写真を見ると、私が撮った写真よりも岩肌の色がかなり黒っぽいようである。間違えたのだろうか。近くには象岩というものもあるらしい。なるほど、象が鼻を振り上げたように見える。これには気付かなかった。観光船に乗れば、これらが見られたのである。がっくり。さて、5日当日はそんなことには全く気付かず、さらに北東の多古の七ツ穴を目指した。ここも旧島根町である。周辺にはすぐにたどりついたが、ここからが大変であった。マリンパーク多古鼻まで行って引き返し、東へ伸びる細い道に入る。左手に洞門らしきものが見えたが、案内板も駐車場もないので、とりあえず写真を1枚だけ撮ってさらに東へ進む。すると、立派な駐車場があった。車は1台もない。案内板には島と洞門の写真が載せられている。この周辺に穴が9つあるはずである。陸からは7つに見えるので七ツ穴という。駐車場の上に岩壁へ向かう階段があったので、喜び勇んで昇って行くと、民家の前に出た。慌てて引き返し、休憩舎からあたりを見渡す。左手に岩があり、赤いロープ状のものが垂れ下がっている。穴が開いていそうな雰囲気である。これか。しかし、道がよくわからない。案内板の写真も明らかに違う。例の階段の2~3m西にもう1つ階段があったので、行ってみた。おもしろい形の岩がそびえている。ここから岩壁を下りる。黒くごつごつした岩場である。溶岩か。出っ張りがたくさんあり、ロッククライミングの練習台のようで下りるのは楽である。しかし、下は岩場で、波が寄せては返す。落ちたらお陀仏の可能性なきにしもあらず。必要以上に力を入れ、岩にへばりつく。溶岩?やっとの思いで下の岩場に到着。確かに洞門のようである。しかし、案内板の写真とは違い、島は見えない。ここも違うのか。とりあえず、写真を撮って引き返す。頭の中を?が飛び交う。もう昼過ぎである。空腹で頭が働かなくなってきた。駐車場の案内板をもう一度確認し、島を探す。あった。休憩舎から見えた。ということは、ここからさらに東か。駐車場からはかなり離れそうである。とりあえず、車でさらに東へ。もと来た道に戻ってしまった。周辺をぐるぐる、しまいに現在地もよくわからなくなってきた。道をしらみつぶしに探し、後はもうここしかない。少し高くなった所に、「多古○○線歩道入口」と書かれた木の板の案内板があり、コンクリートの道が見える。車を止め、徒歩で向かう。遊歩道が続いている。海を見ながらしばらく進むと、はるか左前方の岩壁に穴がいくつか開いている。島も見える。やった。洞門がきれいに見える所を探してさらに進む。草木が生い茂って海が見えない所もある。途中でこれ以上進んでも視界が悪くなるだけだと判断して引き返し、開けた場所で写真を撮った。多古の七ツ穴最初に駐車場周辺で写真を撮ってからほぼ1時間経っている。ほんの1kmをぐるぐる走り回ってやっとである。しかし、この景色に空腹も疲れも忘れてしまった。この多古の七ツ穴は国の天然記念物である。もう少し親切な道標があってもいい。ゴールデンウィークの家族旅行記はこれでおしまい。