焼鳥屋は大賑わい
最近の不景気で、客単価500円くらいの安い焼鳥屋も客足が遠のき、閑古鳥が鳴く日が多いアルが、昨夜は珍しく超満員だったアル。 この店は、予科練卒の頑固なオヤジさんが経営していたアルが、17年前に亡くなり、客の要望で80歳になる奥さんが続けているのこと。 壁にはオヤジさんが筆で書いたメニューが貼って有り、タバコのヤニで黄色く変色しているアル。 驚くのは値段の安さで、普通の焼鳥屋の3倍位の肉が付いた焼き鳥が1本100円アル。また、何故かトマトだけが「時価」になっているのこと。頑固オヤジの拘(こだわ)りだったに違いないアル。 奥さんは「メニューを書き直すのが面倒」と17年前の値段で経営しているアル。 普通は11人で満席になり、ママさんは知らない客が来ると「満席です」と断ってしまうのこと。 しかし、珍さんのような常連が行くと、カウンターの中から丸椅子を出してくれるアル。ギリギリ14人までは入れるのこと。 それでも入りきれなかった常連は、カウンターの中で呑むという面白い店アル。 カウンターの上には客がキープしている焼酎や日本酒の一升瓶が並び、気の弱い客は、それを見ただけで恐れをなすのこと。 本当は左手前でタバコを吸っているオッサンの位置が珍さんの定位置アル。この席は手を後に回すと引き戸に触る位置アル。 この店は冬になると戸を閉め切ったまま、石油ストーブを焚き、オデンをガスコンロで保温し、奥のガスコンロでお湯を沸かしたり、湯豆腐を煮たりしているアル。 80歳のバーチャンの頭には換気という文字が無いらしく、いつも換気扇を付け忘れるのこと。これだけ満席で、あちこちで火を使ったら絶対に酸欠になるのこと。 だから珍さん、定位置に座って時々、引き戸を3センチ程開けて換気扇の役をしているアル。 300円のツキダシだけで呑む客も多く、その客が帰るまで午前3時くらいまではママが付き合ってくれるアル。 今時珍しい、採算度外視の店アルよ。