【一息つくことの大切さ】
【一息つくことの大切さ】 ★柿沼忍昭師の言葉から― ◎頑張って働き過ぎて疲れてしまった、という人たくさんいます。 ギリギリまで追い詰められたときに大事なことがあります。 それは、「一息つく」ことです。 ギリギリの限界まで来たときは、自然と体からそのサインが出ます。 うつになるとか、その他の精神的な病になるということもそのひとつです。 決定的に壊れてしまわないために、あらかじめ人間に組み込まれている プログラムが、うつやその他の精神の病だと私は思っています。 うつは、むしろその人を助けてくれる体からのサインなのだ、ということ です。 「うつ病」という病気の段階になったら相応の治療が必要ですが、「うつ うつ」としている状態は「うつ状態」でしかありません。 このうつ状態は誰にでも起こりますが、いまはそうそう「うつうつ」として はいられない時代です。 うつうつとしていると、「どうしたんだ。しっかりしろ」「ぼやぼやしている と置いていかれるぞ」と叱咤され、急き立てられる社会だからです。 でも、うつうつとしている時期は、とても大切なんですね。 昔の「世捨て人」はみな、うつうつとしていました。 吉田兼好は『徒然草』を、鴨長明は『方丈記』をうつうつとしながら、なん とはなしに書きました。 それが世の中の人々の琴線に触れました。 うつうつしていると、サボっているといわれることもありますが、サボれる 隙があるのなら、サボってしまえばいいのです。 うつうつとしている状態は、「病気になる前に休みなさいよ」という体からの サインかもしれないし、「ここでちょっと立ち止まって考えてみたら?」と いうサインかもしれません。 みんながみんな、元気で快活でいる世の中なんてないし、もしそうなってし まったら、そんな世の中は不気味ですよね。 大事なのは「割り切る」こと。 ちょっとくらいうつうつとしている時期があってもいい、ここで無理をした らかえって周りに迷惑をかける、というくらいの気持ちで割り切って休む。 それが、うつ状態から脱出するための賢い方法です。 (参考文献:柿沼忍昭著「禅、心がほっとする考え方」知的生き方文庫)________________________________________ *著者によれば、禅を広めた道元禅師の 「欠気一息(かんきいっそく)あるべし」 <気力がなくなったら一息ついて休むことが大切> という言葉を本書で紹介しています。 肉体的な力に限界があるように、精神的な力(心の力)にも限界がある のです。 ここでいう限界とは、重さ1キロのダンベルしか持ち上げられないのに 5キロのダンベル持ち上げようとすると、体を痛めますよという意味です。 つまり、「限界」というのは人によってそれぞれ違うものです。 重さ5キロのダンベルを持ち上げるには、5キロ以上の力が必要である ことを知るべきなのです。 つまり、自分を知ることが賢明ということです。 もし、最近うつうつしているな、と感じたらとりあえずそこで立ち止まり、 「心の力が弱くなっているのだから、休んでエネルギーを補充しよう」、と 気持ちを切りかえることが大切です。 そして、元気になったら次はさらに強くなるように努力する。 一息つくことを、単に休むことだけではなく自分を知り、さらに一歩力を アップするためのものだと考えるのです。 そういう考え方が自己成長にもつながっていきます。 一息ついて、一歩前進しましょう。