【海に都市を作る夢】
【海に都市を作る夢】 太平洋上の赤道付近に、キリバス共和国という小さな国があります。広さは長崎県の対馬とほぼ同じぐらいです。人口は10万人。観光地として知られますが、地球温暖化の影響で海面が上昇しこのままでは2050年にはタワラという首都のある島の80%が水没し既に、島では家の壁が波をうけ削られているところもあるそうです。清水建設の竹内真幸(たけうちまさき)さん。ある日、社長から「未来につながるプロジェクトを考えなさい」との指示を受けました。竹内さんは考えた結果、このキリバス共和国の実情を憂いてある構想を考えました。その計画とはまず、海上に直径3,000メートルの浮き島を浮かべる、というものです。島の中心部には、高さ1,000メートルのタワーを建設し高層部は居住用中層部は植物工場、下層部はコメなどを耕作する農場として使用する。エネルギーは太陽光発電。名づけて「グリーンフロートプロジェクト」というそうです。この構想を提案した当初、「本当に実現できるのか?」という疑問の声も出ました。竹内さんは、アメリカで人類が初めて月にいくという「アポロ計画」も最初はできるはずがない! と相手にされなかったという話を思い出していました。この「グリーンフロートプロジェクト」はすでに進行していて、2030年の着工が予定されています。 竹内さんは真剣な表情で言ったそうです。 「この計画は『夢』ではありません。『目標』ですよ」。と。今の社会は昔の人が描いた夢を、現実にした社会ともいえます。将来も、みんなが幸せになれる夢を、現実にする社会になってほしいと思います。 (参考文献:「夢の扉、+(プラス)」NTT出版)