本質に迫る勇気
本質に迫る勇気中国・宋の時代に、范仲淹という人物がいた。財政や教育など多方面の改革を担い、有能な人材の登用にも心を砕いた▼ある日、上官が「わしも随分多くの人を見てきたが、節操のある者はいないものだ」と嘆いた。それを聞いた范仲淹は、「あなたが御存じないだけです」と断じた。「そうした先入観で人に接しておられると、節操のある者がやってこないのはむしろ当たり前でしょう」(朱熹編・梅原郁編訳『宗名臣言行録』ちくま学芸文庫)▼人が物事を判断する際、自分の経験に頼るのが常である。だが経験は時に先入観となり、判断を誤らせる場合もある。予断を拝し、本質に迫らんとする勇気が大切だろう(略) 【名字の言】聖教新聞2021.5.26