苦悩から歓喜へ
苦悩から歓喜へ創立祝賀の本部幹部会では、創価グロリア吹奏楽団が、ベートーベンの交響国第五番「運命」(第四楽章)の圧巻の演奏を披露してくれた。苦悩を突き抜けて歓喜へ――「運命」などの名曲は、私も若き日、手回しの蓄音機でレコードがすり減るほど聞いたものだ。当時、わが恩師・戸田城聖先生の事業は苦境に陥り、私自身も胸を止んでいた。だが、楽聖の力強い旋律に魂を振るわせ、〝この苦悩の冬を超え、必ず指定凱歌の歓喜の春を開いて見せる!〟と奮い立ったのである。ベートーベン自身、苦闘の連続であったことは有名である。しかし彼は、過酷な運命を戦う、自らの使命に誇りを持っていた。〝自分は作曲できる。ほかになにもできることがなくとも〟と。二百年前(一八二二年)の暮れに残した自負である。この頃から〝歓喜の歌〟を織り込んだ交響曲「第九」作曲への本格的な取り組みも始めている。生命を鼓舞してやまない人類の贈り物は、決して順風の中ではなく、むしろ逆風にさらされた苦闘から、そして不屈の志から生まれたのだ。人生は、山あり、谷あり。病気や仕事の苦悩、家庭や人間関係の葛藤、将来への不安など悩みは尽きない。だが、今の苦闘には深い意味があると確信していくことだ。強盛な信心の一念がある限り、「宿命」を「使命」転じられる。恩師は、同志に慈愛の眼を向けて呼びかけられた。「悩みのある人は、一年間、真剣に信心してごらん。来年の今日まで絶対に変わらないわけがない」断じて、よく変わっていけるのが妙法の力である。いな、変えていくために私たちは信心しているのだ。この確信、そして確かな「人間革命」の凱歌の物語を、明年も共々に残していこうではないか! 【随筆「人間革命」光あれ】聖教新聞2022.12.28