脳科学が明らかにする「あなたの隣のサイコパス」
脳科学が明らかにする「あなたの隣のサイコパス」 ありえないようなウソをつき、常任には考えられない不正を働いても、平然としている。ウソが完全に暴かれ、衆目に晒されても、全く恥じるそぶりさえ見せず、堂々としている。それどころか、「自分は不当に非難されている被害者」「悲劇の渦中にあるヒロイン」であるかのように振る舞いさえする。残虐な殺人や悪辣な詐欺事件をしたにもかかわらず、まったく反省の色を見せない。そればかりか、自己の正当性を主張する手記などを世間に公表する。外見は魅力的で外交的。トークやプレゼンテーションも立て板に水で、抜群に面白い。だが、関わった人はみな騙され、不幸のどん底に突き落とされる。性的に翻弄であるため、色恋沙汰のトラブルが絶えない。経歴を詐称する。過去に語った内容とまるで違うことを平気で主張する。矛盾を指摘されても「断じてそんなことは言っていません」と、涼しい顔で言い張る。——昨今、こうした人物が世間を騒がせています。見過ごせないのは、この種の人間を擁護する人が少なくないことです。「彼/彼女は騙されてああなってしまったのだ」「決して悪い人じゃない。むしろとても魅力的だ」といった好意的な反応が、テレビのコメンテーターから一般の方まで、少なからず出てくるのです。時には「信じゃ」であるかのような崇拝を示す人までいます。そうして人たちは、きっと知らないのでしょう。彼/彼女たちが、高い確率で「サイコパス」だということを。 【サイコパス】中野信子著/文春新書