ダイヤモンドは自ら光を放つことはできない
ダイヤモンドは自ら光を放つことはできないイギリスの科学者ファラデーは幼少の頃、家が貧しく、13歳から製本屋の配達人として働き始めた。仕事に精を出す傍ら、読書に励み、科学に興味を抱いた▼8年後、イギリス王立研究所の化学者デービーの講演に参加。科学者への憧れが燃え上がった。その後、詳細に記録した彼の講演内容を製本し、手紙を添えて送った。デービーは感動しただろう。ファラデーは21歳で、王立研究所の実験助士に採用される▼製本屋での努力と、ダービーとの出会いがなかったら、ファラデーの化学者としての人生はなかったに違いない。たとえ遠回りのように見えても、目の前の課題に真剣に臨む中で、未来への道が開けた好例であろう▼研究所で業績を積んだファラデーは、その後、市民向けの公開講座を開設。特に、少年少女を対象にした講演は反響を呼んだ。彼は69歳の時の講演で語っている。「ダイヤモンドは自ら光を放つことができず、炎に照らしてもらって初めて輝く」(竹内敬人訳)▼誰もが無限の可能性という〝ダイヤモンドの原石〟を心に持っている。それを磨くのは自分自身。照らし輝かせるのは周囲の励まし。ファラデーのようにひたむきに努力し、デービーのように次代の宝をいつくしむ生き方でありたい。 【名字の言】聖教新聞2023.10.12