「宇宙は否定形を知らない」
心配ごとをたくさん背負った願いには、用心したほうがいいでしょう。不安は巨大な磁石のようなものです。避けようとすると不安がそれを引き寄せるからです。「不安」には、いろいろな感情が入り交じっています。ですから、不安の中には並外れた強いエネルギーが潜んでいます。さらに私たちは、心配すればするほど、そこに注意を払います。つまり、最悪のシナリオを細かく思い描いては、何度も考えをめぐらせてしまうのです。私たちは、幸せなことよりも、心配なことのほうに目を向けます。その結果、何もかもが順調なときでさえ、それに気づかず、陰気な不安のエネルギーの中に自ら浸ってしまうのです。また、エネルギーは、つねに、注意がうながされているほうに向かいます。よいことであれ、悪いことであれ、気にかけている出来事を引き寄せるのです。ですから嫌なことを引き寄せてしまわないように、注意しなければなりません。避けたいことほど向かってくるのです。不安を抱きながら願っているときは、実際には何かを避けようとしています。どんなにポジティブな言葉で表現しょうとしても、「私は~をしたくない」とか「~が欲しくない」という思いが背景にあるのです。しかし、宇宙は「~(したく)ない」という言葉を知りません。否定形で状況を変えることはできないのです。何かを避けるためにやらない、というのも同じことです。このように願うと、ほとんどの場合、本当の願いとは全く逆の効果がもたらされてしまいます。つまり、宇宙は「ない」という言葉をリクエストから除き、そのまま実行してしまうのです。たとえば、「病気になりたくない」は、宇宙にとっては「病気になる」という意味になります。でも、どうしてそうなってしまうのでしょうか?「ない」状態をもたらすことはできません。私たちは、「何か」をつくりだすことはできても、「ない」状態をつくりだすことはできないのです。「つくり出さない」と考えただけでも、そのつくり出したくない結果がもたらされてしまいます。問題は、宇宙が「ない」という言葉を知らないことだけではありません。(そもそも、どうやったら「ない」になれるでしょうか?)願いの背景にある病気への不安が、健康への願いよりも大きいことが問題なのです。何かを避けようとすることはできません。しかし、その逆で、何かをつくり出してもらうことはできます。そのためには、ポジティブな姿勢で物事に取り組まなければなりません。「天」に向けられた願いは、こうあるべきです。「健康でありますように」――この願いはシンプルではっきりしています。これで、病気ではなく、健康という願いに取り組んでいることになるのです。しかし、正直に言いますと、私たちはどれほどたくさん、このようなネガティブな願いを考えたり、口に出したりしていることでしょう?「失業したくない」「死にたくない」「事故にあいたくない」「貧乏になりたくない」「私を捨てないで」などと言って。それが「天」に到達したときに何がもたらされるのかは、みなさんもうおわかりですね。正しく願うなら、「仕事があります」「必要なものは、何でもあります」「今のおつきあいで幸せです」となるはずです。どうして多くの願いがまちがった形で運ばれてくるのか、すでにおわかりになった方もいらっしゃるでしょう。実際には、まちがった結果がもたらされているわけではないのです。届いたものは、リクエストどおりです。まちがっていたのは、あなたのリクエストの内容なのです。【「宇宙に上手にお願いする法」】ピエール・フランク著/中村智子訳 サンマーク出版