体に侵入した病原体を取り除く
体に侵入した病原体を取り除く順天堂大学 准教授 竹田和由基本的な仕組み世界中で新型コロナウイルスの感染が収まりません。感染症への対策としては予防が何よりも大切です。絶対に感染症にかからないためには、無菌室で隔離されて供御すしかありませんが、それでは日常生活すら送れません。ともすれば、病原体に接する可能性はあるけれど、侵入した病原体を自分で排除しる力である「免疫力」を高めて、かからない、または重症にならないようにし、日常生活を送ることになります。このように免疫を解説すると体を守る正義の味方のように感じられますが、そうとも言い切れません。必要なものまで排除してしまう場合があるからです。重篤な心臓や腎臓の病気では、臓器移植をしなければ救えない場合があります。卓越した技術の外科医の移植手術を受け、高度な術後管理を受けても、一卵性双生児からの臓器移植でない限り、患者さん本人の免疫が他人の臓器を拒絶します。ですので、免疫抑制剤を飲まないと移植臓器は生着しません。免疫とは、「自分の体の中にある正常な自分以外のものを取り除く仕組み」なのです。それが敵対する悪者なのか有益なものなのか、判断してはいません。私達の体に入ってきた(感染した)ウイルスや細菌は免疫により排除されますが、それらの多くが病気の源(病原体)なので、たまたま感染症を予防でき、またかかっても治っているのです。新型コロナ関連で免疫の予防効果が強調されていますが、感染症からの回復も、ほとんど免疫力によるものです。免疫は、病原体に対するいろいろな細胞による反応で行われ、それは大きく「自然免疫」と「獲得免疫」の二つに分けられます。この連載では免疫について、できるだけわかりやすく解説していきたいと思っています。 【免疫力を上げよう!1】公明新聞2021.2.11