内なる力を引き出す仏教
アメリカ 宗教連合イニシアチブ ビクター・ガザンジン代表多様性の奥に普遍の真理が多くの場合、特権の座に居座り続けようとする宗教指導者たちの関心は、教義よりも、自らの支配体制をいかに維持するかにしかありません。そうした精神の孤塁に囲まれた宗教権威に従い、安住を求めたり、逆に阻害や迫害を恐れる人々が多い中で、信仰と魂の自由のために戦い抜いたSGIに、改めて共感を深くするのです。私たちは宗教の対立の温床となる教条主義や閉鎖主義を断じて乗り越えていかなければなりません。宗教者が自身の思想と精神の源を深く掘り下げることによって、その独自性の奥に、差異を超えた人類共通の英知の水脈の流れを見ることができるからです。ふつうの水脈へとつながる井戸は、いくつあってもよいのです。この井戸だけが真理の水脈を掘り当てた、などと強弁すれば、宗教における“水争い”の種になってしまいかねません。この水脈は、生命の尊厳と愛に基づいた人間の普遍の倫理の知水をたたえて、古来、存在するものです。私たちは自身の足下に存在する声明の知水を掘り当て、そこから精神の養分を得ることによって、共通の大地に、独自性と多様性に満ちた融和の花園を築くことができるのです。そのビジョンと精神を、宗教を異にする人々と分かち合いたい。そのための第一歩は教育である、との信念から私は宗教・精神生活学部長を務めていたウェズリー大学に「教育変革プロジェクト」を立ち上げたのです。開設にあたり、ビジョンを共有する池田国際対話センター、アメリカ創価大学から、多大な支援をいただいたことに、深く感謝しております。【グローバル・インタビュー「世界の識者の眼」】聖教新聞2015.3.16