励ましは成長を促し勇気を与える
時の大女優・池内淳子さんが、まだ駆け出しの倉本聰さんに言った。「四十になったらメロドラマやるンだ。そン時脚本書いてくれる?」。倉本さんは緊張して答えた。「ハイ、カ、書きます。書かせて下さい」。“そン時”まで、あと10年。当時の倉本さんは、この世界でやっていけるか、自信がなかった。だが、とにかく必死に生き延びようと思ったという(『さらば、テレビジョン』冬樹社)。“自分の将来を信じている人がいる”と思うと、その期待に応えようと勇気が湧くものだ。「一生懸命働いて、お母さんを海外旅行に連れて行くからね」。母子家庭に育ち、社会人となった女子部員が言った。これまで働きづめで、娘のことが先で、自分のことは後回しだった母に親孝行がしたかった。だが社会は厳しかった。それでも壁にぶつかるたび、母への約束を思い出し、耐えて乗り越えていった。一方の母は病に倒れてしまう。だが、“わが子に夢をかなえさせてやりたい”と闘い、病魔を克服。3年後、母子は晴れて海外へ。現地SGIの会館を訪れた親子は、涙で題目が声にならなかった。成長を待ち、応援してくれる人の心を知れば、人間は、より強くなれる。その頑張る姿は、必ず他の誰かをも励ましている。励ましの連鎖は無限だ。【名字の言】聖教新聞2016.1.20