まことの時
「努力できることが才能である」とは米大リーガー・ヤンキースの松井選手が支えにしている言葉。自身の打撃を鍛え上げた実践に<毎日の素振り>を挙げている▼その重要性を教えてくれたのが巨人時代の長島監督。「おい松井、バットもってこいよ」。好不調に関係なく、就寝中にも監督から電話が入り、バット片手に自宅を飛び出したことも▼試合に勝った日も、ヒットを打てなかった日も振り続けた。素振りは基本中の基本の練習。「毎日欠かさず続けていくことが、いつかきっと、自分を高めてくれると信じてきました」と述懐する(『不動心』)▼野球に限らず、一流の選手は基本を徹底して繰り返す。が、どんな些細な取り組みも、毎日、続けるのは難しい。気が乗らない時も調子が悪い時もある。そうした自分を叱咤し積み重ねた努力はいざという時、必ず力となる▼「人生には、自分が試される<まことの時>がある。ゆえに、日ごろ、いかなる心構えで生き、どう努力しているかが大事になる。日々、地道な精進を重ねていてこそ、いざという時にチャンスをものにすることができるのだ」と名誉会長▼日々の努力を大事にする人は、他の人の陰の苦闘を見逃さない。そうしたリーダーに成長していきたい。(馨)【名字の言】聖教新聞07・3・8掲載「今まで生きて有りつるは此の事にあはん為なりけり、此れこそ宇治川を渡せし所よ・是こそ勢多を渡せし所よ・名を揚るか名をくだすかなり、人身は受け難く法華経は信じ難しとは是なり」(御書1451頁)